大切な人を亡くした時に起きること~グリーフ(悲嘆)

グリーフ(悲嘆)とは

グリーフとは、「深い悲しみ」や「悲嘆」を意味する言葉で、大切な人を失ったときに、心や体に起こる様々な反応のこと。

感じ方は、どのような喪失だったのか、どのような状況だったのかによっても違うし、何より、人それぞれ違う。

広義では、死別だけでなく、生き別れや、失恋、卒業、離婚、孤立、ペットの死、挫折、失業によっても、起こるといわれる。

このサイトでは、主に、死別、生き別れを問わず、両親を失うことについて、人生にどのような影響があるのかを書いている。

 

グリーフ(悲嘆)のプロセス

悲嘆のプロセスは、4段階と言われたり、5段階、7段階、12段階あるとも言われる。

大切なのは、そのプロセス通りに進むことではない。

あなたと亡くなった人との間で起こるグリーフの症状は、他に同じものがない特別なもの。

なので、回復のプロセスや時間の長短は人それぞれといえる。

命日や亡くなった人の誕生日といった「記念日」になると、再び激しい悲しみに襲われるなど、後戻りがあるのは当たり前だ。

回復のプロセスは、未来には、大切な人がいない人生を、歩んでいく事ができるという、希望としての指標だ。

大切な人を亡くした後は、その喪失感を埋めるために、亡くなった人の死や人生に、価値や意味を見出そうとしたり、亡くなった人の死の意味を考えたり、自分や他人、環境や社会を責める気持ちが生まれることがある。

それは、とても自然な反応だ。

だけど、まずは、悲しんでいる自分、淋しい思いをしている自分の気持ちを、大切にしていく必要がある。

私は、母が亡くなって1ヶ月後に、「死と向き合う」というセミナーに参加した。

そこでは、亡くなった人の死の意味を考え、メッセージを受け取り、人生の使命を生きるというような、プロセスがあった。

その時は、母の死を価値あるものにしたいという思いで、積極的に取り組んだし、ある程度の満足感も得られた。

でも、感情を疎かにしていたことには、気づかなかった。

そして、半年たってから、心身の不調が襲ってきた。

もし、あなたが、十分に悲しんでいないなら、まずは、しっかりと自分の感情に向き合って欲しいと思う。

 

グリーフ(悲嘆)の症状

心の変化

何も感じられない 、自分を責める、急につらくなる、あまり覚えていない、 怒りを感じる、悲観がちになる、過度に前向きになろうとする、慰め、いたわりの言葉にイライラする、やる気が出ない、突然泣けてくる、故人の面影を追い求める、死の意味づけ理由づけに固執する(これでよかった、しょうがない)、焦燥感、落ち込み、苦しさ、寂しさなど

体の変化

身体が重だるい、眠れない、眠りが浅い、疲れやすい 、持病が悪化する、動悸、息苦しさ、めまい、頭痛、肩こり、腰痛、吐き気、食欲がない 、下痢・便秘症状、など  

行動の変化

誰にも会いたくない、集中しづらい、落ち着かない、故人との思い出の日(誕生日や命日など)が近づくと気持ちが落ち込む、など

 

わき上がってくる様々な想い

悲しみはあなただけのもの

死別の悲しみは、ひとりひとり違う。

親との関係、どんなお別れだったか、今のあなたの生活環境や、宗教の違いによっても、悲しみの体験は異なる。

だから、自分自身のやり方で悲しんでいい。

悲嘆のプロセスや、期間的なものも、回復に向かっているという、参考にするのはいいけど、それに左右されなくてもいい。

亡くなった親が高齢だった場合、人はあなたの悲しみを理解してくれないかもしれない。

親を送ることは、人生に起きる当然のイベントとして、考えられている。

日本は、若いことに対する価値に重きを置いているから、もう役目を終えた人たち、という見方をするのかもしれない。

「大往生でしたね」「寿命でしたよね」なんて言われたり、当たり前の出来事を経験しただけだから、早く以前の生活に戻ることを求められたり、するかもしれない。

だけど、周囲の期待は、どうでもいい。

あなたが、あなたのやり方で、ちゃんと悲しみ、前を向いていけるように。

 

亡くなった人の人生や亡くなったことに意味を求める

亡くなった大切な人は、どんな人生を送ったんだろう。

その人生には、どんな意味があったんだろう。

今、亡くなったという意味は何だろう。

人生や生きることの意味を求めるのは、親が亡くなったときの、自然な反応だ。

もしかしたら、母は、辛い人生だったとか、人に尽くしてばかりだったとか、ネガティブな想いが、頭をよぎるかもしれない。

悲しみが、あなただけのものであるように、人生の喜びや幸せは、その人だけのもの。

あれこれと頭をよぎる思いに、向き合うことは、あなたの人生のために必要なことだ。

父の人生をどんな風に思っているのか、母の人生をどんな風に思っているのか。

そこに向き合うことで、あなたの人生の方向性が見えてくることがある。

 

安堵感

亡くなられた方が、辛い闘病生活をしていた方だったら、ほっとしているかもしれない。

親の看病をしてきたなら、この想いは強い。

人が亡くなってホッとすることに、罪悪感を感じているかもしれないけど、これは自然な感情だ。

そばにいる大切な人が、苦しむ姿を見ることは、あなたにとっても辛かったはずだ。

そして、その期間に、それまででは考えられなかったような、たくさんのものも、受け取ったと思う。

 

怒り

機能不全家族や、虐待のあった家庭に育った場合、親との確執があった場合は、解消できなかった怒りが、
亡くなった親に向くかもしれない。

辛く苦しい感情が、親の死によって、意識化されるかもしれない。

けれど、どんな場合でも、怒りは生きる力になる。

少し落ち着いたら、あなたの中に眠っていた、怒りと向き合ってみてほしい。

 

罪悪感

親との確執があった場合、関係に問題を抱えていたり、絶縁状態だったり・・・は、親が亡くなったときに罪悪感を感じるかもしれない。

言いたかったことを言えなかった、酷い言い方をして傷つけた。

でも、罪悪感や後悔といった感情は、大切な人が亡くなったときに、自然に持つもの。

だけど、その感情に向き合い、自分のこと、相手のことを受け入れていく事が、癒しには必要だ。

自分の気持ちを肯定して認めよう。

どんな想いがわき上がったとしても。

無理にポジティブになったり、自分に批判的になったり、感情を抑え込もうとしなくていい。

 

グリーフ(悲嘆)を経験したときに役立つこと

自分の心と体に起こっていることを受け入れる

悲しむことや泣くことは、ダメなことじゃない。

悲しみは、心の痛みから回復するために、誰もが通る大切なプロセス。

「突然、泣けてくる」、「イライラする」、「何もする気が起こらない」「1日中ゴロゴロしている」など、自分に起こっていることを否定せずに「今は回復のプロセスにいるんだ」と受け入れてみる。

 

十分な休息や睡眠  

深い悲しみはたくさんのエネルギーを使う。  

無理をせず、十分な休息や睡眠をとることは大切だ。

 

食事をとる  

何も食べたくないかもしれない。

しかし何かを食べることで、体も心も回復していく。

ちゃんとした食事がとれないなら、スープでも、バナナでも、何でもいい。

栄養があるものとか、体にいいものとか考えないで、食べれそうなもの、食べたいものを、選ぶようにするといいだろう。

誰かと一緒に食事をとると、思った以上に食べれることもある。

 

癒しの本や音楽  

何もする気がおきないかもしれない。  

本を読んだり、音楽を聴いたりすることが、心に安らぎを与えてくれるかもしれないのだ。

漫画や絵本をパラパラとめくってみたり、好きな音楽を流してみるのも、気分転換につながるだろう。

 

人とのふれあい ・人に助けを求める 

グリーフの時期に限らず、人との触れ合いは、心も体も回復させる。

気の許せる友達などに、話を聞いてもらうのもいいだろう。 

一緒にいてもらうだけでも、心が落ち着くことがある。  

あなたの悲しみを認め、話をそのまま聴いてくれる人を探そう。

同じ体験をした人でもいいし、プロのカウンセラーさんでもいい。

あなたが、想いを正直に吐き出して、楽になる相手に、話すことが重要だ。

 

焦る気持ちが、回復を遅らせる

回復の過程で、誰もが早く元気になろう、前向きになろうという気持ちを抱く。

しかし、早く元気にならなきゃって思ってるってことは、今は元気じゃないってこと。

無理やり、元気になろうとするのではなく、自然に元気になっていく必要がある。

頑張りすぎることは、心身の回復を遅らせる。

回復にかかる時間と、人としてのあなたの価値や強さとは、関係ない。 

上記のように、「突然、泣けてくる」、「イライラする」、「何もする気が起こらない」「1日中ゴロゴロしている」などの状態の時には、自分が悲しみの中にいることを受け入れてみる。

そして、回復のプロセスの途中であると、安心してほしい。

 

元の生活に戻るのではなく新し人生を生きる

大切な人が亡くなった後、早く元気を取り戻し、元の生活に戻ろうとする。

でも、あなたが生きるのは、大切な人がいない世界の、新しい人生だ。

大切な人を亡くすということは、価値観が大きく変わることでもある。

そして、死生観にも、大きな影響を与える。

親が亡くなったことで、あなたの人生が永遠に変わったのだ。

新しい自分の人生を、しっかりと歩んでいきたい。